昔、くじらぐもにのりたかった

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「今」にフォーカス! 〜禅から学ぶ親修行〜

息子は受験を控え、塾に通っています。最初の頃は、テストの結果が出るたびに一喜一憂していました。成績は上がったり下がったりしますから、まるでジェットコースターに乗っているような気分です。

まだ先は長いのに、毎度これでは身が持たない。身だけでなく心だって。そう思ったわたしは、五里霧中のなか「禅」の世界に光明を見出しました。

とはいえ禅は奥が深いです。まだ学びの途中ですが、いいなと思った考え方を備忘録として残したいと思います。

 

 

点と点をつなげる

Apple共同創始者の一人、スティーブ・ジョブズが禅に造詣が深かったことは有名ですよね。そして、2005年スタンフォード大学の卒業式で彼が行ったスピーチも。

その随所に、禅の考え方に通じるところがあると言われています。

 

未来に先回りして点と点をつなげて見ることはできない。

君たちにできるのは、過去を振り返ってつなげることだけなんだ。

だからこそ、ばらばらの点であってもそれが将来、何らかのかたちで必ずつながっていくと信じなくてはいけない。

   (中略)

そう信じることで君たちは確信をもって

己の心の赴くまま生きていくことができる。

 

禅は、過去や未来は「今」とは切り離され、独立しているものと考えるそうです。存在しているのは「今」だけだから、将来を見据えて点と点をつなげることはできない。

でも「今」を精一杯生きたなら、その点と点はいつかどこかでつながって実を結ぶ。そう確信できれば、もう何の迷いもなく心の声を聞いて、いまを生きればいい。

彼のスピーチには確かに、「今」にフォーカスする禅の精神が宿っていると感じます。

 

 *関連する禅語* 

  前後際断

   過去と未来は断ち切れている。

   過ぎ去ったことを悔やんでも、将来について悩んでも仕方ない。

   今、最善を尽くしなさい。

  重々無尽の縁起

   この世のあらゆるものは無駄がなく、相互に際限なく関連しあって

   存在している。

 

わたしが子どもの成績に振り回されてしまうのは、将来ばかり見ているからではないか。今、目の前の子どもをしっかり見て、日々の成長に感謝しよう。そう思いました。

「今」に集中して現実を受け止め、感情に支配されずに平常心を手に入れる。これが禅の精神です。平常心…いちばん難しいですが、取り組んでみる価値はありそうです。

 

 

Journey   is   the   reward.

 

これまた、スティーブ・ジョブズの言葉です。直訳すると「旅そのものがご褒美(報酬)だ」

つまり「終着点は問題ではなく、そこに行き着くまでの過程を楽しめ」といったところでしょうか。やはりここでも、見つめているのは将来ではなく今。禅的な言葉だなと思います。

受験でいったら「目標の成績を達成すること」や「志望校に合格すること」よりも、その過程が大事だよってことですね。

楽しむ境地にまでは、なかなか行けないかもしれません。ですが、心に留めておきたい言葉です。

 

 

大人はつい将来のことを考えて、不安になったり悩んだりしてしまいがち。(わたしもです)

でも将来は完全にはコントロールできないし、子どもの将来は親のものではないんですよね…

わたしに今できることは、栄養のある食事を用意して気持ちよく眠れる環境を整えること。彼がしっかり自分の力を出せるようにサポートすることなんだ、という思いに至りました。

 

 *関連する禅語*

  全機現

   人の持つ能力のすべてを発揮すること

 

 

息子を見ていると、「いまを生きる」ことを自然に楽しんでいるなと感じます。子どもは毎日、無意識のうちに禅修行をしているのかもしれません。

わたしも、もともとはそういう心を持ち合わせていたはずだけど、過去や未来にとらわれていつの間にか「いまを生きる」ことを自分から遠ざけてしまっているような気がします。

 

「いつやるの?いまでしょ」といえば林修先生ですが、「いまやらんでいつやるんだ!」というのは、その昔、禅の老師が修行僧達にかけていた叱咤激励の言葉だったそうです。

わたしは修行僧ではないけれど、未熟ゆえにまさに親修行中の身。(永遠に終わらないかも…)

いまを精一杯生きて、振り返ったときに点と点がつながる生き方ができたらいいな。

「いまやらんでいつやるんだ!」忘れそうになったら、この言葉を思い出したいです。