昔、くじらぐもにのりたかった

暮らしとインテリアと、時々雑談

プチ家出のススメ 前編

昨日家出をして、今日帰ってきた。正味29時間のプチ家出。原因は「犬も食わないアレ」である。

 

こういう時なにが悔しいって、いつ帰ったら生活に支障が出ないか考えてしまうことだ。妻としての役目はともかく、「母としての役目」は全うしたい。学校行事や歯医者の予約、塾のお弁当、PTAのアレコレ等々に支障をきたさないよう、律儀にもスケジュールを確認してから遂行する。よし、行ける!と判断したら、あとは素早く荷造りして家を出るのみ。レッツラゴー‼︎

 

さて、どこへ行くか。わたしの場合は迷わず実家だ。(安心して帰る場所があることは、心の底から有り難いと思う)

出る時に、実家へ行ってくると夫に言い置く。そしていつ頃帰るかもなんとなく伝えておく。決別や相手を困らせるための家出ではなく、ブレイクをとるためのものだからだ。

 

嫌な思いをしたら、そこから離れるのはひとつのサバイバルではないか。鬱々としてしまう自分に付き合うのもしんどい。わたしの場合、家事をしているときに反芻してしまう傾向がある。だから自分の精神を守るために家から離れる。なんて建設的な家出だろう。バスに揺られながら、そんなことを考える。でも気づくと、ため息。まだひきずっている自分を許して、バスに揺られる。

 

駅に着くと、信号機の故障か何かで、当てにしていた路線が大幅に遅れているという。まぁ、いっか。ゆっくり行こう。

学生時代に使っていた経由駅の地下が、素晴らしく垢抜けたモールに生まれ変わっていることに気をよくして、ここで軽く昼食をとろうと決めた。甘さ控えめのフルーツサンドと熱いコーヒーが、気分を明るくしてくれる。これだけでも、プチ家出した甲斐があったと思えた。

 

ホームから母に電話を入れた。「急だけど、今日顔見に行くわ。泊まれるから」とわたしが伝えると「それじゃ、お寿司出前してもらおう。楽しみに待ってる」母の声があからさまに弾む。そんな声を聞いてしまっては、犬も食わない話などもう、どうでもよくなった。

 

車窓からどこまでも続く積乱雲を眺めた。

雷の音が、遠くに聞こえた。

 



中編へつづく

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