昔、くじらぐもにのりたかった

暮らしとインテリアと、時々雑談

手を動かした先にあるもの

「ドレッシングの中蓋を開けたことがない」

と息子が言うのでびっくりした。

 

ウソでしょ?

でもそう言えば、何の気なしに私が開けてきちゃったかもしれない。

そうやって今まで、小さな経験をたくさん奪ってしまっているに違いない。

ちょっとマズい。

このままでは将来、生活力のない人になってしまう。

それ以来

「アレ、やってみて。コレ、お願い」

と ちょっとしたことでも息子に声をかけるようになった。

案外、何でも出来るので驚く。

もう小さなあの頃とは違うんだと実感する。

頼もしい。

コミュニケーションも増えるし助かるし、いいこといっぱいだ。

 

午前中、軽井沢から収穫したばかりのとうもろこしが届いた。

今年の夏はどこにも出かけられないからと、夫が取り寄せたのだ。

宅配の人から段ボール箱を受け取った夫が

「これどうしたらいいの?」

と言うので

「そこに置いておいて。後で皮剥くから」

と答えたけど、いや違うな、これだといつものパターンだ。

 

「ねぇ、新鮮なとうもろこし、お父さんが頼んでくれてたのが届いたよ。

皮剥いて〜」

と息子を呼んだ。

「わー、いっぱい入ってるー!」

喜ぶ息子を前に、死んだような目をしていた夫がなぜか張り切り出した。

 

 どこでやる?

 庭がいいんじゃない?

 庭だと蚊がいるから、玄関にしよう。

 

私がキッチンで ひとり黙々とやるより、ずっといい。

 

やってみると簡単だったり、面倒だったり。

暮らしは、そんなことだらけ。

やってみないと 手を動かして経験してみないと

わからないことが多い。

けど、その積み重ねが工夫や創造性のタネになる。

いつかそれが、自分の中で熟成されて育ったなら

きっと 一緒に暮らす人への優しさや思いやりになると思う。

学校で 隣に座るあの子の気持ちを慮ったり

世の中で起きていることの裏側を覗き込む 思慮深さになったら

なおいい。

 

そんな 地に足のついた想像力のある人になってほしい。