どのくらいこうしているだろう。
時間にして、5、60分。
おそらく そのくらいだ。
フワッと浮いたかと思うと グッと沈む。
乱気流が続くせいで
さっきから なんとなく胃のあたりが気持ち悪い。
こまめにやりとりしているらしい。
強風が弱まるタイミングを待って 着陸しようとしているのだ。
今は上空で待機状態、ずっとベルト着用サインが消えない。
お手洗いも使用できない。
行けないとなると 行きたいような気がしてくるのはなぜだろう。
脚の血流がだいぶ滞ってきた。
屈伸運動がしたい。大きく伸びをしたい。
フワフワしない地上を踏みしめて
足の裏全体で自分の体重を感じたい。
「みなさま 当機はまもなく着陸体制に入ります。
腰の低い位置で 緩みのないようにシートベルトをお締めください」
やった、降りられる!
そこへ機長のアナウンス。
「現地の天候はみぞれ、気温は摂氏4℃です」
春なのに、春休みの旅行なのに、そんな寒いところに降りたくない。
あぁでも、もう飛行機からは降りたいぞ。
だいぶ下降して、窓の外に日本海が見えてきた。
ガンガンに荒れ狂っている。
降りたくない。でも やっぱり降りたい。
あ、あれは鳥取砂丘ではないか。
砂浜の色が独特な黄土色をしている。
当然だが誰もいない。けど、降りたい…。
ところが 飛行機はまたもや上昇を始めてしまった。
みるみるうちに 眼下に消えていく砂丘。
らくだにride on するはずだった砂丘…。🐪🐪🐪
着陸を試みたものの、滑走路の風速が機体の基準値を超えていて断念。
「当機は伊丹空港に着陸いたします」
機長の声が若干切なく聞こえた。
わたしたちは、東京と鳥取の中間地点に降り立った。
強風だからその可能性もあるよ、と搭乗前にアナウンスがあったけど
いざそうなると はてどうしたものか。
息子は少し酔って青白い顔をしている。
もう羽田に引き返す元気も
鳥取までバスや電車を乗り継いで行く気力もない。
(もちろん私も)
家族会議の結論が出るのに さほど時間はかからなかった。
「そうだ京都、行こう。」
※※※
出発当日、日本列島に吹き荒れた強風。
搭乗予定の米子空港行きの便が欠航してしまいました。
ならばと、急遽押さえた鳥取空港行きの便でしたが着陸ならず。
出雲、松江、鳥取砂丘の旅は行先を変更して、京都へと落ち着きました。
京都は雪がちらついて寒い日もありましたが、晴天の日もあり
あちこち巡っていい思い出になりました。
松江方面は翌日も荒天で真冬の寒さだったようなので
結果オーライでした。
せっかく大阪に降り立ったのに、大阪でどう遊べばいいか
思いつかなかった遊び下手な大人です。
今度は大阪も楽しみたいです。
それから、もちろん島根と鳥取も。
帰りは快適なフライトでした。
毎日の安全な空の旅に尽力くださっている
すべての人に感謝したいです。